102歳の大往生

 

早朝、携帯が鳴る。

発信者は東京の叔母。

こんな時間の突然の電話に、受ける前から内容を悟る。

「おばあちゃんが亡くなったのよ」

電話口の叔母がそう告げる。

やはり、いやな予感が当たった。

享年102歳。

1921年、大正10年生まれ。

軍国主義が台頭する時代に青春を過ごし、

戦禍を生き延び、昭和、平成、令和と

100年を生き抜いた大叔母。

実の祖母を早くに亡くした僕にとって、おばあちゃんのような存在だった。

100歳の誕生日をお祝いしようと2020年春、

父を連れて東京に行く予定にしていたが、コロナ禍で断念。

行けそうにないことを伝えると、

大叔母は「こんな時にきちゃダメよ。まだまだ死にそうにはないから大丈夫よ」と

逆に慰められた。

妻の父が2021年に亡くなった時も大叔母は

「私の周りもみんな死んだのよ。人はいつか死ぬもんなんだから。

とはいえ、いまは奥様に寄り添ってあげてね」とまたも慰められた。

今年3月、コロナ禍も落ち着き、いましかないと思い、妻と一緒に東京まで会いに出かけた。

僕たちが行くと、ベッドから起き上がりにこにこしながら、

「よくきてくれたわね」と喜んでくれた。

昔の話から今の話まで、間違えることなく話し、

いや、話している途中で記憶が混乱すると、間違ったことに気がつき、

話の内容を修正していた。

帰り際に手を握り、「日本最長寿を目指してね」というと、

「もういいわよ、充分生きたわよ。」と優しく微笑んでいたことが、昨日のように思い出される。

長い間、ありがとうございました。

ご冥福をお祈りします。